2019/01/24
大寒の雲を挟んで空に空
2019/01/29
指宿の端まで走る鉄道の夜の音きき海をおもおう
2019/02/17
空色を切り抜いて梅は白し
2019/02/27
梅は散る一人と一人と旅立つ
2019/03/07
雨が降るたび凍えない朝
2019/03/09
海の中を掻きまわせば黒くなる力を増して堤防を越え
2019/03/13
苔のむす石よりも短く雪解け
2019/03/23
枝さきに蕾みつけて僕は気付いた
2019/03/23
月がある風が教えた春である
2019/03/25
左から振り返り右から振り返りそれはふたつの月だと思う
2019/03/29
ひと春の眼薬も残り半分で春の長さも冬の寒さも
2019/04/3
川沿いを歩く三人一分咲き
2019/04/3
花の下糸を垂れたる櫓たち
2019/04/7
散る花を見たいのではない通過する
2019/04/8
灰が舞う夜の道には春だから
2019/04/8
散るために咲くわけがない満開や花になれない私は歩く
2019/04/10
光さす明日の風には散る桜
2019/04/16
薄紅の散って散ってなおも花である
2019/04/25
なんという雨こんな春もある星
2019/05/11
空間や命にぎわう青葉たつ
2019/05/18
成層圏月に海軍燃えている
熱帯夜月に陸軍朽ちている
2019/05/31
名も知らぬ君が作りし円鏡に喜怒哀楽の千年残火
2019/06/23
二階までバニラの気分ねクチナシ
2019/06/23
菱升や空梅雨ならば空の色
2019/06/23
重いからね余分に多い手足など邪魔だとばかり速力全開
2019/06/23
この先は決して交わらぬ昼と夜同じ星なのに同じ時だから
2019/06/23
梅雨雲や確かに世界は動乱す